
「解約したはずなのに…」スマホ画面から姿を消しても勝手に続く引き落とし。あなたも知らぬ間に月々数千円の"無駄払い"をしているかもしれない。
4年間気づかず10万円の"幽霊支払い"
千曲市の会社員女性(49)は今年2月、ある衝撃的な事実に気づいた。スマホの利用プランを見直そうと請求内容を確認したところ、自分が全く利用していない動画配信サブスクリプション(サブスク)の料金が4年間にわたって引き落とされ続けていたのだ。その金額、なんと10万円超。
「1カ月無料で、月末までに解約すれば料金はかからない」
2021年2月、女性はNTTドコモのスマホ機種変更時に、店員から2種類の動画配信サービスへの加入を勧められた。解約方法を尋ねると「アプリをアンインストールすればいい」と言われ、手軽に解約できると感じて契約した。
「アプリをアンインストールしたから解約できたはず…」
利用する機会がないと感じた女性は、すぐにアプリを削除。解約できたと安心していたが、実際には月額1200円と900円、計2100円の料金が4年間にわたって引き落とされ続けていた。子どものスマホ利用料と合わせて毎月2万円を超える請求の中に、この金額が紛れ込んでいたため気づかなかったという。
急増する"見えない契約"の相談
国民生活センターによると、サブスク契約を巡る相談は急増している。2021年度は7461件だったが、2024年度は2月末までですでに1万3045件と1.7倍に膨れ上がっている。
「アプリを削除し利用していないのに料金を請求されて納得できない」 「アプリを削除してしまい解約方法が分からない」
こうした相談が多数寄せられており、サブスクの解約手続きの分かりにくさが浮き彫りになっている。
アプリ削除≠解約 その罠の正体
INC長野ケーブルテレビのカスタマーセンター課長を務める山本岳輝さん(47)は、スマホでのサブスク利用について重要な注意点を指摘する。
「アプリはサービスを受ける機能しかない。アンインストールでは解約できないので注意が必要」
多くの人が誤解しているが、アプリを削除しても契約そのものは続いている。サブスクは無料期間が終わると自動的に有料サービスになり、使っていなくても契約が続く限り支払いが発生する仕組みだ。
10ステップの解約迷路
千曲市の女性がサブスクを解約するまでには、実に10もの手順を踏む必要があった。
- サービス提供元のウェブサイトやアプリにログイン
- IDやパスワードの入力
- マイページや設定画面から契約情報を確認
- 解約・退会メニューの探索
- 解約理由を選択
- 解約意思の再確認
- アンケートへの回答
- 特典の放棄確認
- 最終確認画面での確定
- 解約完了メールの確認
「サブスク加入を勧めるならば、解約手続きまでしっかり説明してほしい」と女性は訴える。
死後も続く請求の恐怖
特にスマホ操作に不慣れな高齢者は要注意だ。山本さんによると、本人の死後にスマホを解約してもサブスクの請求が続くケースがあるという。
「亡くなった方のスマホを解約しても、別会社と契約しているサブスクの料金請求は止まりません。遺族が気づかないまま引き落としが続くこともあります」
スマホを契約解除しても、そこに紐づいていたサブスクは別契約として残り続ける。故人がどのサービスに加入していたのか把握していないと、"幽霊契約"として料金が発生し続ける恐れがある。
専門家が警告「理解できないものには手を出すな」
消費者問題に詳しい坂井田慧弁護士(長野市)は、サブスク契約の特性について注意を促す。
「契約者が利用してもしなくても一定の料金が発生するのがサブスクサービスです。使わなかったとしても返金を求めるのは厳しいでしょう」
サブスクは便利な反面、契約内容をしっかり理解していないと思わぬ出費につながる。坂井田弁護士は「理解しきれないことには安易に手を出さない意識が大切。サービス内容や条件、解約方法をきちんと理解した上で契約してほしい」と話す。
サブスク管理術:賢い付き合い方
山本さん自身も3、4種類のサブスクを利用しているが、解約手続きが煩雑なことを認める。そのうえで、サブスク利用者に向けて以下のアドバイスを提供している。
1. 契約情報をメモに残す
サブスク解約時にはIDやパスワード、登録メールアドレスが必要になる。忘れると再設定や問い合わせが必要になり、手続きがさらに増える。
2. 定期的な見直しを
「私自身、同じサブスクで契約と解約を繰り返すこともある」と山本さん。使わなくなったらすぐに解約する判断も必要だ。
3. 割引特典に惑わされない
携帯ショップでは、指定サブスクへの加入でスマホ料金の割引特典が受けられることがある。一時的な割引に惑わされず、長期的な支出を考慮すべきだ。
4. 解約手順を事前に確認
契約時に解約方法も確認しておく。各サブスクの解約手順はサービスごとに異なるため、契約時に調べておくと安心だ。
NTTドコモの対応
千曲市の女性のケースについて、NTTドコモの広報担当は「代理店に対して、解約を前提としたサービス提案は推奨していない」との立場を示した。「頂いた意見は代理店への注意喚起などにつなげたい」としている。
しかし、説明不足によって長期間の"無駄払い"が発生した事実は変わらない。各携帯会社やサブスク提供企業には、より分かりやすい説明と解約手続きの簡素化が求められている。
サブスク時代の賢い消費者になるために
デジタル社会では、一見便利なサービスの裏に隠れた契約の罠に注意が必要だ。特に注意すべきポイントは以下の通り。
- アプリ削除≠解約:最も多い誤解。必ず正規の解約手続きを行う
- 契約内容の確認:無料期間終了後の料金、自動更新の有無をチェック
- 定期的な請求確認:月々の請求内訳を定期的に確認する習慣を
- 解約方法の把握:契約時に解約手順も確認し、メモに残しておく
- ID・パスワード管理:解約時に必要な情報を安全に保管する
サブスクは上手に活用すれば生活を豊かにするツールだが、管理を怠れば"見えない出費"が積み重なる原因になる。契約内容を理解し、定期的に見直す習慣をつけることが、デジタル時代の賢い消費者の条件と言えるだろう。
COLUMN:主なサブスクの解約方法
■ Netflix、Amazon Prime Video、Hulu、Disney+などの動画サービス ・各社のウェブサイトからアカウントページにアクセス ・「会員情報」や「アカウント設定」から解約メニューを探す ・理由選択やアンケートに回答後、最終確認画面で解約確定
■ Apple製品経由の場合(iPhone/iPad) ・「設定」→「Apple ID」→「サブスクリプション」 ・該当サービスを選択して「サブスクリプションをキャンセルする」
■ Google Play経由の場合(Android) ・Google Playアプリを開く ・右上のプロフィールアイコン→「支払いと定期購入」→「定期購入」 ・該当サービスを選択して「キャンセル」
■ 携帯キャリア経由の場合 ・各社の会員ページ(マイドコモ、My au、My SoftBankなど)にログイン ・契約内容やサービス一覧から該当サブスクを探す ・解約手続きを行う(場合によっては電話やショップでの手続きが必要)
デジタル時代の"見えない契約"に振り回されないよう、賢い消費者になることが求められている。サブスクの便利さと引き換えに失うものは何か。契約前に立ち止まって考える習慣を身につけたい。
#サブスク詐欺 #解約トラブル #無駄払い撲滅再試行