「お試し」や「初回だけ」の広告から注文した商品が、翌月もまた届いた。 それは、申し込んだ契約が1回限りではなく定期購入だった可能性があります。慌てて連絡する前に、手元にある画面とメールで契約の中身を確かめてください。確かめる順番を決めておくと、何を言えばいいかまで絞れます。
この記事では、通販の定期購入を注文前に見分ける確認項目と、届いてしまったあとの手順を整理します。特定の商品や販売会社の良し悪し、返金されるかどうかの見込みは扱いません。
先に結論:確かめることは3つ
- 申し込んだのは定期購入だったか(注文の完了メール、納品書、最終確認画面の写し)
- 解約の条件はどう書かれているか(申出の期限、連絡の方法、回数の縛り)
- 連絡した記録を残せているか(日時、方法、相手の返事)
国民生活センターの集計では、通信販売での定期購入の相談は2025年度に93,065件ありました。健康食品や化粧品、飲料で多く、「1回限りと思って申し込んだら定期購入だった」という相談が目立つとされています。珍しい失敗ではありません。
定期購入と気づきにくい理由
定期購入は、商品が決まった間隔で届き、そのたびに代金を払う契約です。解約を申し出るまで続く形のものもあれば、最低の回数が決まっている形のものもあります。
気づきにくいのは、広告の目立つところと、契約の条件が書かれているところが離れているからです。消費者庁のガイドラインは、初回の分量や価格を大きく見せ、定期購入の条件を小さな文字や離れた位置に書くことを「人を誤認させるような表示」にあたるおそれがある例として挙げています。
「お試し」「縛りなし」は、1回限りという意味ではない
国民生活センターは2025年1月の発表で、「定期縛りなし」は「1回限り」ではなく、「いつでも解約できる定期購入」を意味することがあると注意を呼びかけています。回数の縛りが無いだけで、解約を申し出なければ届き続ける、という形です。
「いつでも解約可能」という言葉も同じです。実際には解約の申出に期限があったり、連絡の方法が限られていたりすることがあります。消費者庁のガイドラインは、条件が付いているのに「いつでも解約可能」と強調する表示も、誤認させる表示にあたるおそれがあるとしています。
注文の途中で、契約が変わっていることがある
2026年4月の国民生活センターの発表では、申込みの途中で「さらにお得なご案内」が出て、それを選んだら定期購入に変わっていたという型が挙げられています。最初に見た広告が1回限りでも、途中の画面で別の契約に切り替わっていることがあります。
注文する前に確認する4つ
2022年6月1日から、通販の事業者は注文を確定する直前の画面(最終確認画面)に、契約の基本的な事項をはっきり表示することが必要になりました。見るべき場所は、広告ではなくこの画面です。
分量と回数
1回に届く量と、何回届くのか。回数の決まりが無く解約するまで続くなら、その旨が書かれているはずです。「初回」という言葉があれば、2回目があるということです。
各回の代金と、支払う総額
初回と2回目以降で代金が違うことがあります。消費者庁のガイドラインは、定期購入では各回の代金に加えて、支払うことになる総額をはっきり表示するよう求めています。2回目以降の代金が見当たらなければ、注文を確定しないでください。
届く時期と、支払う時期
次の商品がいつ届き、代金をいつ払うのか。ここが分かれば、解約の申出が間に合うかどうかを判断できます。
解約の条件と方法
申出の期限(「次回発送日の何日前まで」など)、連絡の方法(電話だけ、など)、途中で解約したときの負担。ガイドラインは、解約の方法を限っている場合や、受付の時間帯を限っている場合は、最終確認画面ではっきり分かるように表示する必要があるとしています。
4つを確かめたら、注文を確定する前にもう1つやっておきます。消費者庁と国民生活センターは、最終確認画面や契約条件の表示をスクリーンショットで保存するよう呼びかけています。あとで「そんな条件は書いていなかった」と伝えるとき、手元に残っているのはこの画像だけです。
届いてしまったときにやること
2回目の商品が届いた、または請求が来た。その時点でやることを順に並べます。
契約の中身を確かめる
- 注文の完了メールを探す。コース名や「定期」の文字、次回のお届け予定が書かれていないか
- 商品に入っていた納品書を見る。次回のお届け予定日が書かれていることがある
- 注文したときの画面の写しがあれば、それも並べる
国民生活センターの事例には、納品書に次回のお届け予定日が書かれていて、そこで初めて定期購入だと分かった、というものがあります。
すぐに解約を申し出る
解約の申出に期限がある契約では、1日遅れると次の回が確定することがあります。契約の中身がはっきりしなくても、先に「解約したい」と伝えてください。 書かれている方法で連絡し、あわせて次のことを記録します。
- 連絡した日時と方法
- 電話なら、つながったかどうか、話した相手と内容
- メールや問い合わせ窓口なら、送った文面の写し
電話がつながらないとき
解約の連絡を電話に限っていて、何度かけてもつながらない、ということがあります。消費者庁のガイドラインは、解約の連絡に電話を受け付けるなら確実につながる番号を載せておく必要があり、一切つながらない場合などは、解約について事実と違う表示をしたことになるおそれがあるとしています。
つながらないときは、かけた日時を記録しておき、メールや問い合わせフォームなど電話以外の方法が分かれば、「解約したいが電話がつながらない」と送っておくのが確実です。いつ解約を申し出たかを、あとで示せるようにするためです。
誤認させる表示だったとき
2022年6月1日からは、誤認させる表示によって申し込んだ場合、契約を取り消せる可能性があります。取り消せるかどうかは、そのときの表示と経緯によります。この記事では判断できません。保存した画面の写しと、連絡の記録を持って相談してください。
相談する先
事業者とのやりとりで話が進まないときや、支払うべきか分からないときは、消費者ホットライン「188」に電話すると、近くの消費生活センターなどの相談窓口を案内してもらえます。
相談の前にそろえておくと話が早いものは、次のとおりです。
- 最終確認画面や広告の写し
- 注文の完了メール、納品書、請求書
- 解約を申し出た日時と方法の記録
デジタルのサブスクとの違い
動画や音楽などのサブスクと、通販の定期購入は、どちらも「続けて払う契約」です。違うのは、商品が物として届くかどうかと、解約の窓口がどこかです。
App StoreやGoogle Playで契約したサブスクは、その一覧から解約できます。通販の定期購入は、販売会社に直接申し出るのが基本で、方法も期限も会社ごとに違います。だから、注文の前に条件を読んでおく意味が大きくなります。
契約しているものを一度すべて洗い出したいときは「サブスクの棚卸しのやり方」、デジタルのサブスクの無料体験については「サブスクの無料体験で失敗しないための確認ポイント」にまとめています。
よくある質問
Q. 通販にもクーリング・オフはありますか。
通販にはクーリング・オフの制度はありません。代わりに、商品を受け取った日から数えて8日以内なら、送料を自分で負担して返品できるという決まりがあります。ただし、事業者が広告に返品についての特約を表示していた場合は、その特約に従います。定期購入の解約の条件とは別の話なので、両方を確かめてください。
Q. 2回目の商品を受け取らずに送り返せば、解約になりますか。
受け取りを断っても、それだけで解約になるとは限りません。国民生活センターの事例には、2回目の商品の受け取りを断ったあとも請求が来た、というものがあります。受け取りの拒否とは別に、解約の申出をしてください。
まとめ
- 「お試し」「縛りなし」「いつでも解約可能」は、1回限りという意味ではないことがある
- 注文前は、広告ではなく最終確認画面で、回数・各回の代金と総額・届く時期・解約の条件を見る
- 最終確認画面と契約条件の表示は、スクリーンショットで保存しておく
- 2回目が届いたら、完了メールと納品書で契約の中身を確かめ、すぐに解約を申し出る
- 電話がつながらないときは、かけた日時を記録し、電話以外の方法でも解約の意思を送っておく
- 話が進まないときは、消費者ホットライン188で近くの相談窓口を案内してもらえる
参考にした公式情報
- 消費者庁「インターネット通販の定期購入トラブルには御注意を!」(令和4年6月1日からの表示ルール)(確認日:2026-09-28)
- 消費者庁「ネット通販での購入時には、最終確認画面のスクリーンショットを保存しましょう!」(確認日:2026-09-28)
- 消費者庁 特定商取引法ガイド「通信販売」(確認日:2026-09-28)
- 消費者庁「通信販売の申込み段階における表示についてのガイドライン」(PDF)(確認日:2026-09-28)
- 国民生活センター「通信販売での定期購入(各種相談の件数や傾向)」(確認日:2026-09-28)
- 国民生活センター「『定期縛りなし』が『解約するまで続く定期購入』だったなんて…!」(2025年1月31日発表)(確認日:2026-09-28)
- 国民生活センター「巧妙化する定期購入のトラブルにご注意-購入中に『さらにお得なご案内』!?-」(2026年4月28日発表)(確認日:2026-09-28)
- 国民生活センター「『お試し』のつもりだったのに定期購入に!」(確認日:2026-09-28)
- 消費者庁「消費者ホットライン」(確認日:2026-09-28)